パネライ
パネライが創設されたのは1860年、精密機器の製造メーカーとして始まり、じきに時計や光学機器の分野でもいくつもの特許の認可を受けるようになりました。
また、時計の修理などを行う工房も設けていました。
これと同時にジョバンニ・パネライが開店し、イタリア・フィレンツェのサン・ジョバンニ広場で繁盛していた「スイス時計店 Orologeria Svizzera」もイタリアでは数少ないスイス高級時計を扱う店として確かな地位を築いていました。
自身の時計修理工房を構え、時計店としても成功していたパネライは、時計販売や修理のみならず時計関連アクセサリー、精密工具の供給者としても重要な存在でした。
また、修理工房は実質的にはフィレンツェ初の時計学校になっていました。
これと並行して、パネライとイタリア海軍との協力関係も進展し、軍用として特別に設計された品物も海軍に納めるようになりました。
1910年に開発した発光体ラジオミールは、圧倒的な蛍光性を誇り、これを採用した照準器やコンパスによってイタリア海軍の地位を固めていくのです。
1938年にはこのラジオミールを時計に応用し、パネライ初の腕時計「ラジオミール」が誕生するのです。
大戦後、ラジオミールに代わり非放射性蛍光物質ルミノールを採用したルミノール・ウオッチを発表しましたが、一般に開放されることはなくイタリア海軍以外には一部の軍用に製作されたに過ぎませんでした。
こうして、軍事機密扱いでもあったパネライは、1993まで私たちには知られない存在だったのです。
そして、初めて一般発売されたのが限定モデルの「ルミノール」と「マーレノストゥルム」でした。
それらの製品は、信頼性や耐久性、視認性といった軍用時計に課せられる厳密な要求や仕様がそのまま生かされています。
大型で分厚いケースで一躍、「デカ厚の時計ブーム」の火付け役ともなりました。
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